株主優待券で一筆書き切符を購入し、芸備線、木次線、因美線、福塩線などの中国地方のローカル線を1泊2日で巡る弾丸モデルコースの後編。意外と混む区間もある列車の混雑具合などの実際のトコロもご紹介します!
株主優待券を使った一筆書き切符で、北陸から始まって中国地方のローカル線を満喫する旅の後半です。
ここから、いよいよ中国地方のローカル線を2日で乗り倒す旅が始まります。この地域の芸備線・福塩線・木次線(特に木次線は1日3本!)は列車本数が極端に少ないため、効率よく動ける旅程は限られることから、その点では今回の旅程が計画の参考になるかと思います!
なお、旅の全体像(ルートマップ)や優待券を使った一筆書き切符の買い方は、以下の前半記事をご覧ください。
1日目は日本海側の鳥取駅からスタートして、因美線、芸備線、福塩線と本数の少ないローカル線をうまく乗り継ぎつつ、中国山地を抜けて瀬戸内海側の福山に抜けていきます。
比較的便利な場所で宿を取る目的で鳥取をスタート地点にしたのですが、この日はスタートが7時過ぎと早めです。
1本目では、部活で通学する学生さんたちに紛れつつ智頭駅を目指します。
鳥取駅でこそ席が埋まる程度に混んでいましたが、学生さんはそこそこで降りていくので、山深くなったころには座席にも空きがちらほら。この旅をしたのは18きっぷ期間外の連休中でしたが、18きっぷ期間中になるとこのあたりのローカル線は旅行者で混むようなので、ゆったりした(&座れる)旅を狙うなら、一筆書き切符の旅がオススメです。
智頭駅では、駅前のコワーキングスペースに立ち寄って少し時間を潰しつつ、地図からは2本目の列車で津山を目指します。智頭までは特急も走る区間ですが、智頭~津山の区間は本数が減って1日7本です。
ここからはJR西日本のローカル線御用達の車用(キハ120)で、この先あちこちでこの車両のお世話になります。車内はボックス席が4つと残りはロングシートの構成。車窓を楽しみたいなら、少し早めに乗り込んでボックス席を押さえるのがオススメです。
那岐駅と美作河井駅の間で県境をまたいで岡山県に入りますが、のどかな山の風景が続きます。東津山で姫新線と合流し周囲に建物が増えてくると、終点の津山駅です。
津山での乗り継ぎは30分ほど。津山はB級グルメの「ホルモンうどん」が有名ですがさすがに朝からは厳しいため、駅前を散策します。
津山駅は、駅前にSL(C11)が保存されていたり、少し歩けば転車台と機関庫を活用した「津山まなびの鉄道館」があったりと鉄分豊富で見るところには苦労しません。
10時からは姫新線に乗って中国山地の中を西進して新見を目指します。
ここから2度目のキハ120の登板です。時々中国自動車道を横目に見つつ、のんびりとした山と川の風景を楽しみます。
途中の中国勝山から新見間は姫新線の中でも本数が減り、先ほどの因美線と同様1日7本です。2時間弱の乗車を終えて、岡山~出雲市を結ぶ特急街道の伯備線も通る新見駅へ到着です。
ここまでの区間の混雑は、ボックスは埋まりロングシートはゆったり座れる程度の混雑でしたので、座席を気にして駅でへばりついている必要はなさそうでした。終点や町の近く、学校があると乗り降りがあって混む区間はありますが、短距離利用が多いようです。
新見駅で1時間ほど乗り継ぎ時間があり、ちょうどお昼時ですのでランチを探しつつ駅前をぶらぶら。
連休中で昼はお休みしている店も多かったものの、10分ほど歩いたところで中華屋さんを見かけたので、こちらでお昼をいただきました。
シンプルで素朴な味が旅している感覚を沸き立たせてくれる感じがして、好きだったりします。
ここからがこの旅の山場の一つで山深いエリアに入っていきます。新見~備後落合間は更に本数が減り、1日5本です。
本数は少ないですが乗る人数も少ないので乗車率は変わらず、椅子がほどほどに埋まる程度です。
余談ですが、新見から二駅先の備中神代までの区間は、厳密には伯備線にあたる区間で、切符を買う際のメモで気を付ける区間の一つです。
山深くなるにつれ、徐行区間が増えてきます。聞くところによると、保守作業の簡略化を狙ってローカル線の路盤が弱い箇所で設定されているとか…。旅をのんびり楽しめると捉えることにしましょう(笑)
姫新線に1時間半ほど揺られて到着したのが、このあたりでは有名(?)なターミナル駅の「備後落合駅」です。
列車が到着した14時半ごろはラッシュアワーで、今乗ってきた芸備線の新見方面、これから乗る三次方面、そして明日乗る木次線の3方向の列車が同じ頃到着し、また同じころに折り返していくタイミングです。駅の周りがにわかに活気づく時間帯、ぜひ楽しんでみてください。
ここからも引き続きキハ120のお世話になり、塩町駅を目指します。ここからも1日5本の区間ですが、この列車は備後落合で折り返した方も相まって、座席は埋まり、立ちの方も出ていました。
山あいの風景をこれでもかと堪能しつつ、1時間ほどかけて塩町駅に到着です。
塩町駅で福塩線に乗り継ぎますが、ここで1時間強の待ち時間があります。せっかくなので駅の周りを散歩することに。
15分ほど歩いたところにお好み焼き屋さん「まっちゃん」がありましたので、ここで腹ごしらえ。
お母さん2人で切り盛りされているアットホームなお店で、おいしいお好み焼きにビールもいただき、心もお腹も満たされました。鉄道旅は飲みたいときに飲めるのがいいところですね。
再び塩町駅まで腹ごなしの散歩をし、やってきたキハ120で、一度芸備線とお別れして福塩線の旅です。
塩町~府中駅の間は、相変わらず1日5本ですが、夕方便ということもあり今日乗った中では比較的空いていました。少しずつ傾いてくる日を横目に、1時間半ほどで府中駅に到着です。
府中駅~福山駅は久しぶりに電車区間となります。ここからは列車本数が一気に増えてざっくり1時間に2本ほど。都会になれているとこれでも少ないですが、1日数本の区間を乗り通してくるとすごく多い感じがします(笑)
本数も多く、始発駅でもあるため座席はかなり余裕があります。ここからは40分ほどで、ついに長かった日本海側から、瀬戸内海側へ縦断ルートが完成します。
電車に乗っている時間帯がちょうど日が落ちるころで、車窓からみる日の入りの景色がとてもきれいでした。
あたりはすっかり暗くなったころ、福山駅に到着です。
駅前すぐにある福山城をちらっと眺めつつ、今日の宿がある広島駅へ新幹線で向かいます。
この区間は18きっぷだと在来線で2時間以上かかる辛い区間の一つですが、新幹線に乗れば最速25分もかからずにワープできるので、この区間を半額の料金で移動できるのはかなり助かります。
ホームに上がると、500系とひかりレールスターが並んでいました。この光景ももうすぐ見られなくなりますね…。
そんなこんなであっという間に広島に到着&ホテルで一泊し、翌日再び日本海側で旅のゴールの出雲市へ向かいます。
翌朝広島からは、再び芸備線で備後落合駅へ向かい、この旅で最も運行本数が少ない木次線を通ってゴールの出雲市を目指します。
広島から三次駅までは快速列車で向かいます。三次までの区間は1時間に1~2本走っており、この列車のように快速も運行されます。2両編成ということもあり、座席はゆったり座れました。
キハ120よりもさらに古いこの列車(キハ47)も西日本ではまだまだ現役です。この列車に「快速」として乗る機会はなかなかなく、ある意味貴重な体験でした。
三次駅からはいつもの(?)キハ120です。
1時間半弱、山深い区間を走って備後落合を目指します。
山あいのローカル線らしく川べりを縫うように走る区間もあり、山と川、空のコントラストは癒されます。
昨日に続き、今度は1番乗りで備後落合駅に到着し、昨日新見から乗ってきた列車と、これから乗る木次線からの列車の到着を待ちます。
この日は、元機関士の方が駅の紹介をしてくださっていました。駅舎の中には写真や案内などが並んでいます。
また、ホームからは昔使っていた転車台も見え、かつてのターミナル駅の雰囲気が今も残っています。
今回の旅で最も運行本数が少ない木次線で、日本海側の宍道駅を目指します。
ここからは1日3本しか走っていない区間です。この列車を逃しても3時間後にもう1本ありますが…あちこち見ている間の乗り遅れにはご注意を(笑)
この日は若干混んでいて立ちの方もいらっしゃったので、念のため折り返し列車が到着したら早々に席を取っておくのが安心かもしれません。
この区間は山を越えることからかなりアップダウンがある路線です。途中では、上の写真のように日本海側と瀬戸内海側の分水嶺を跨いだり、この後ご紹介するループ橋やスイッチバックといった見どころ満載の路線です。
上下の写真が、奥出雲おろちループと呼ばれる国道314号線にかかる国内最大級のループ橋です。
道路でさえ高低差を稼ぐためにループ橋を設置する難所です。勾配に弱い鉄道はこの区間を大きく迂回しつつ、次にご紹介する出雲坂根駅のスイッチバックによって高低差を稼いでいます。
おろちループを過ぎた先の出雲坂根駅では、3段式のスイッチバック設備を体験できます。前の記事の地図を拡大して見ていただくとわかりやすいですが、一度に上ると急勾配過ぎる坂道を、何度か方向転換して切り返すことで登る(下りる)設備です。
この時間に合わせて車で見に来られている方も何名かいらっしゃいました。
その先しばらく行った亀嵩駅では、何やら蕎麦屋さんが併設されているようです。今回は旅の都合で諦めましたが、今度機会を作っていってみたいところです。
そんなこんなで3時間ほどの木次線の旅を終え、再び日本海側の宍道駅に到着し、出雲市のゴールを目指します。
宍道からは普通列車3駅でゴールの出雲市です。
出雲市駅ではちょうどサンライズ出雲と特急やくも(この車両は先日定期運用からは引退しました)の2ショットを見られます。全然考えてなかったのですが、宍道駅で旅を終えてサンライズで東京に戻るというのも面白いかもしれません。
出雲市駅の改札では、前の記事でご紹介した2枚の切符を提示して改札を出て、中国地方ローカル線の旅が終了です。
出雲空港から東京へ帰り、旅が完結です!
最後までお読みいただきありがとうございました。
この他にも一筆書き切符旅のモデルコースや、今回のような変わり種コースなどを以下の記事でご紹介しています。宜しければぜひご覧ください!